白夜行／東野圭吾

　東野圭吾さんの著作国内発行部数が1億部を突破したと報道があり、長引く出版不況の中での快挙で、現在37の国と地域で出版されている。今回ご紹介するのは、東野圭吾ファンの間でも人気の高い「白夜行」。物語は1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された事件から始まる。結局、事件は迷宮入りする。被害者の息子で暗い目をした少年・桐原亮司と容疑者の娘で並外れて美しい少女・西本雪穂は、その後、全く別々の道を進んでいくが、二人の周囲に見え隠れする幾つもの恐るべき犯罪。事件の真相を追ううちに見えてくる二人の関係、しかし、確たる証拠はなく、そこには周囲の人たちの憶測だけがある。昭和から平成まで時代がめまぐるしく変化する中で雪穂と亮司、それぞれの物語が関係者の視点で語られる、二人だけの孤高の領域は愛なのか共生なのか。主人公の内面を可能な限り描かないことが、不気味さと想像力を増している色褪せないミステリーである。

東野圭吾／集英社文庫

1,430円（税込）

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舞台化・ドラマ化・日本と韓国で映画化された250万部の発行部数を誇る名作です。