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【行政トップインタビュー】松延嘉國長崎港湾・空港整備事務所長 /地元港湾建設業は不可欠なパートナー

2023年08月22日(火)

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 今年4月、九州地方整備局長崎港湾・空港整備事務所長へ就任した松延嘉國氏。「関係する方々への配慮を欠くことなく事業を進めていきたい」と穏やかに語る新所長へ、そのかじ取りや管轄する事業について聞いた。

■長崎の印象―事務所長として


 当事務所への勤務は約30年ぶり。今回、事務所長として赴任し、長崎のまちが西九州新幹線開業や駅周辺土地区画整理など、大きく様変わりしていることに驚きました。長崎駅から望む臨港部もまちの玄関口として大変化を遂げている、ということが長崎への大きな印象です。


 長大な海岸線を持つ長崎県には、長い歴史を持つ港や離島が数多く存在します。重要港湾5港、全体では82の港湾があり、中でも長崎港、佐世保港は「地域経済を支える物流拠点、離島航路および外航クルーズの拠点」として、五島・壱岐・対馬にある各港は「離島と本土を結ぶ物流および人流の拠点」として、さらに長崎空港は「国内外主要空港や県内離島を結ぶ海上空港」としてそれぞれが重要な役割を果たしています。事務所長としてこれらの港湾空港行政の重責を担うこととなり、身の引き締まる思い。


 就任以降、そしてこれからも港湾と空港の整備を通じて地域経済の活性化や防災・減災、老朽化対策など、長崎の更なる発展に貢献できるよう全力で取り組んでいきます。また、エネルギー転換等による脱炭素化や洋上風力発電等の再生可能エネルギー産業を支える港湾施設整備など、長崎港や離島における新たな社会ニーズにも対応する港づくりを地域の方々と共に進めていきたいと考えています。


■主要事業について


 まずは「長崎港松が枝地区旅客船ターミナル整備事業」です。本事業はクルーズ船受入「お断りゼロ」のため、16万㌧級大型クルーズ船の2隻同時接岸に対応すべく松が枝岸壁を2バース化するもので、2020年度に事業化しました。その事業内容は、直轄岸壁整備(延長410㍍、水深12㍍)および泊地は岸壁前面部で水深12㍍を確保するための1・3㌶浚渫―など。本年度は埋立申請手続き等を進め、来年度から本体工に着手、ケーソン製作を計画しています。


 ほかにも長崎港では航路(水深12㍍)の幅員350㍍を確保するため浚渫等を実施しています。


 また、近年の激甚化・頻発化する台風や高波等への対応や施設の老朽化対策としては、佐世保港(前畑地区)で岸壁水深10㍍および水深11㍍の改良工事(延長195㍍)を進めています。


 厳原港では防波堤(北)の改良整備(老朽化対策およびかさ上げ、腹付工)を実施。五島の福江港では一定の整備が完了、次の事業を掘り起こすための計画を練っているところです。


 長崎空港滑走路端安全区域(RESA)の整備事業では、22年度から1期工区の一部に着手(※)し、1期のうち23年度の第2次工事も契約したところ。このように、港湾や空港における国土強靭化、安全・安心の確保に引き続き取り組んでいきます。


■本県建設業界に向けて


 地元港湾建設業の皆さんには、管内港湾空港の整備や災害対応を行う上で不可欠なパートナーとして重要な役割を担っていただいています。そして近年では担い手不足等の問題もあり、建設業の将来を見据えて「生産性の向上」や「働き方改革」への取組みにも積極的に協力いただいています。共に協力しながら互いに変えていく努力が必要な時代。今後とも、密に意見交換をさせていただきながら、地域の建設業の発展に貢献できるよう取り組んでいきたいと思っています。


※進入灯を跨いで1期・2期に分け、1期工区内でも複数に分割して発注。


まつのぶ・よしくに
 1964年生まれ、83年福岡県立八女工業高等学校土木科卒業、87年関東学院大学工学部第二部建設工学科(土木)卒業。1983年4月第四港湾建設局門司港工事事務所採用、九州地方整備局熊本港湾・空港整備事務所第二工務課長や九州地方整備局港湾空港部港湾事業企画課長補佐、九州地方整備局唐津港湾事務所長などを経て今年4月、長崎港湾・空港整備事務所長へ就任。
 

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