『高規格道路・島原道路』島原振興局管内3工区を見る /出平有明バイパス・有明瑞穂バイパス・瑞穂吾妻バイパス
2023年08月22日(火)
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今年5月、新型コロナウイルス感染症が第5類へ移行。県内では、観光客の姿が少しずつ見られ、街に以前の活気が戻りつつある。島原半島3市においても観光振興に力を注ぎ、メディア等を通じて地域の魅力発信に努めている。
県外および県内から地域に来てもらうためにも、交通ネットワーク整備は重要な要素だ。島原半島では、『高規格道路・島原道路』の整備が進捗著しく、2020年度に同道路有明瑞穂バイパスが事業採択されたことにより、半島内全3工区が事業化を果たした(図1)。
地域の早期完成への期待はさらに高まり、今後も行政・住民・地元企業による全線開通を目指す活動が盛り上がりを見せるだろう。本紙では、島原振興局(近藤和彦局長)の協力を得て、半島内3工区の現在の整備状況をまとめた。
全線開通を目指し繋がっていく道路
『高規格道路・島原道路』は、南島原市深江町を起点として、諫早市貝津町の長崎自動車道諫早ICまでを結ぶ延長約50㌔㍍の自動車専用道路。島原半島と諫早市中心部の時間短縮を図ることで、交流人口拡大による沿線地域の活性化や、農業支援、交通渋滞緩和、救急医療体制の強化、災害時の交通ネットワークの確保など様々な効果をもたらす。
現在、南島原市深江町~島原市出平町(島原深江道路・島原中央道路・下折橋~出平間)が供用中。また、一般県道諫早外環状線(諫早IC工区)と同線(長野~栗面工区)が近年供用開始となり、日々の生活の中で整備効果の一端を見ることができる。さらに、国道57号森山拡幅(約5㌔㍍)を国土交通省長崎河川国道事務所が整備中。うち、森山東IC~森山西IC間(約3・3㌔㍍)が今年度の開通となる見通し。
これにより残る主な区間は、▽国道57号森山拡幅(約1・7㌔㍍)▽国道57号小野町~長野町間(約2㌔㍍)▽国道251号瑞穂吾妻バイパス(約6㌔㍍)▽同有明瑞穂バイパス(約10㌔㍍)▽同出平有明バイパス(約3㌔㍍)―となり、国・県が地域の理解と協力を得ながら整備推進に取り組んでいる。以下、県が整備する半島内3工区を解説する。
地域間の所要時間短縮、交流人口拡大や産業振興に寄与
出平有明バイパス
整備概要は、総延長3・4㌔㍍を車道幅員7㍍(路肩・中央帯含め12㍍)で整備するもの。本線はランプ橋含め橋梁9橋を計画しており、現在(6月末時点)、橋梁下部工においては2号橋A2、6号橋P1・A2、7号橋A1を整備中。橋梁上部工においては、2号橋他3橋を実施している。
今年度は、2022年度補正予算3億5000万円と今年度当初予算11億5000万円を充当。橋梁工において▽2号橋外2橋床版工▽5号橋下部工A2▽6号橋上部工―を発注予定。道路改良工では、▽出の川町擁壁工2▽大三東ICランプ函渠工その1▽津吹町擁壁工8―を発注する見通し。このほか、昨年度からの繰越工事の完成を目指す。
整備中の道路改良工では、4工区の盛土工をICT施工で行うなど、生産性向上および品質確保を図っている。具体的には、敷き均しをMC(マシンコントロール)を搭載したブルドーザーで施工。転圧をGNSS(グローバル・ナビゲーション・サテライト・システム)を使用したタイヤローラーで行い、法面整形をMG(マシンガイダンス)搭載のバックホウで実施している。
今年2月には、同区間インターチェンジの名称が「島原三会IC」と「大三東IC」に決まり、島原三会ICは少しずつその姿を現している。
有明瑞穂バイパス
総延長10・4㌔㍍を車道幅員7㍍で整備する。2020年度に事業採択されたばかりで、現在は地域ごとに地元説明会を実施しながら事業協力を依頼するとともに測量・調査・設計・用地取得を推進している。また、今年度から一部工事着手を予定している(大三東IC橋下部工A1)。
今年度予算は、昨年度補正予算1億4000万円と今年度当初予算6億9000万円を充て、継続して用地取得等に取り組む見通し。
瑞穂吾妻バイパス
総延長6・4㌔㍍を車道幅員7㍍で整備。本線はランプ橋含む12橋を計画。現在(6月末時点)で用地取得と橋梁下部工1号橋A2、4号橋A1、8号橋A2を整備中。道路改良工にも着手しており、引き続き、地域の理解と協力を得ながら整備促進に努めていく。
今年度の予算編成は、昨年度補正から14億1000万円と今年度当初予算から9億円を計上しており、今年度は6号橋工事用道路と市道付替舗装工を発注する予定だ。