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【こちら建設新聞法律相談所】《第3回》試用期間について教えて「試用期間中の解雇は問題ない?」

2024年06月28日(金)

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 面接では好印象だったんだけど、実際に雇ってみたら期待したほど仕事ができないし、同僚とのコミュニケーションが苦手なようで社内で浮いている。まだ3か月の試用期間中だから辞めてもらっても問題ないですよね?」


 このような相談、結構多いです。


 「試用期間」という言葉から、試用期間中に辞めさせることや、試用期間満了時に本採用を拒否することは容易にできるかのように誤解されがちですが、試用期間中といえどもこれらは解雇に当たります。たしかに、裁判例において、試用期間中は、解約留保権付労働契約とされていることから、本採用前の解雇は、本採用後の従業員に対する解雇よりも、解雇理由を広く認めています。かといって容易に解雇できるわけではなく、客観的に合理的な理由および社会的相当性が必要です。


 試用期間は適格性の判断期間であると同時に、教育や研修を行う期間でもあります。このコラムの初めに記載したような状況であれば、必要な指導や注意を行わず、従業員に改善の機会を与えないまま解雇すると不当解雇となる可能性が高いと考えられます。ただし、個別具体的な事情によって、取るべき対応は様々です。従業員を解雇する際には、専門家である弁護士に相談して慎重に行った方がいいでしょう。


 また、「試用期間の長さはどれくらいまで認められますか?」という質問もよく受けます。裁判例では1年を許容したものもありますが、適格性の判断期間という試用期間の趣旨からすれば、3か月ないし6か月が一般的と考えられます。あまりに長い試用期間は、従業員の地位を不安定にさせ、大きな不利益を与えることから公序良俗違反となり得ます。この機会に御社の就業規則を今一度確認してみてください。


弁護士法人大同門法律事務所(代表:濵口純吾)

長崎市万才町6−35大樹生命長崎ビル5F/ ℡095-827-0356(平日9:00~17:30)



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