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高校生作文コンクール受賞者に聞く『建設業への思いと夢』

優秀賞「“木軸ペン”から始まったものづくりの世界」/平野蓮翔さん(長崎県立長崎工業高等学校・建築科2年)

2025年01月04日(土)

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長崎工業 建築科2年・平野蓮翔さん
 国土交通省と建設産業人材確保・育成推進協議会(事務局・建設業振興基金)が、全国の高等学校の建築や土木学科の生徒を対象に毎年実施している『高校生の作文コンクール』。2024年度は“建設産業についての私の思い”または“日々の学びと私の夢”のテーマの下、952作品の応募があり、県内からは優秀賞で3人が受賞した。今の若者に、現在の社会そして建設業はどのように映っているだろうか―。作品に込めた思いと今後の夢などを聞いた。


~オンリーワンをつくる大工に~


 受賞を知った時は、今まで作文などで賞を取ったことはなかったので、うれしいというより大変驚きました。


 私が建築科で学ぼうと思ったきっかけは、祖母からプレゼントされた「木軸ペン」でした。天然木の木目の美しさに魅入られ、興味をもちました。さまざまな種類の木を用いて家でも小物でも何でも作れるようになりたいと思い志望しました。

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 私が部活動で所属している建築研究部では、文化祭で木製品を販売するのですが、1年生の時に作った移動式ラックは完成度が低く先生から販売が認められませんでした。このリベンジを果たすべく翌年の文化祭で、再度移動式ラックを製作し販売したところ、私の作品がすぐに売れたのです。すごく感動しました。この経験以降、部活動がますます楽しくなっています。


 卒業後は、伝統工芸の専門学校で木工芸を学びたいと考えています。


 私の夢は、木軸ペンのようにオンリーワンのものづくりをする大工になり、お客様に“唯一”の商品を届けること。自分の作品が売れた時の感動をまた得られるよう、努力していきます。 


【受賞作品】

“木軸ペン”から始まったものづくりの世界

 私の夢は、オンリーワンのものづくりをする大工になることです。


 皆さんは、「木軸ペン」を知っていますか。イチイガシ、ユズリハ、タモ、ウェンジなど、様々な銘木からつくられるシャープペンシルやボールペンのことです。私は、中学生の頃から文房具を集めることが好きでした。その際に、この「木軸ペン」と出会いました。金額が高く手が出せずにいましたが、見かねた祖母がプレゼントしてくれました。実際、手にとってみると、手触りが良く木目が豊かで、世界に同じものが1つとしてないオンリーワンのペンに大きな特別感を感じました。そして、将来は木目を生かし家具から家まで建てることができる大工になりたいと思うようになりました。


 工業高校の建築科に入学した私は、早速、木材加工を主とする部活動に入部しました。毎日、手加工の方法や機械の使い方を先生方や先輩方に教わり、大きな学びを得ています。現在、私は高校2年生ですが、部活動で忘れられない思い出があります。


 それは、昨年度の文化祭で木工作品を販売したときのことです。私は、スピーカーと移動式ラックを製作しました。製作後、移動式ラックに、顧問の先生より販売できないとの判断が下されました。なぜなら、圧倒的に商品としての完成度が低かったからです。正直最初はとてもショックでした。ですが絶対に動いてはならない部分が動いてしまい、尚且つ耐久性がそこまで見込めないものだと先生のご指導のもと気づくことができました。


 もう一つの作品は、先生のチェックも通り、製作分全てを完売することができました。ですがやはり販売することのできなかった移動式ラックのことが忘れられません。そして、私は決心しました。「リベンジしよう。」と。これは将来の夢に関係してくることでもあります。私の夢は、お客様にオンリーワンの商品を届ける職業。第一に安全性に欠けていれば商品にならないし、そこに自信を持つことができません。材料もたくさん失敗すればするだけお金がかかります。限りある資源を大切にすることも学びました。


 学びを得てからの部活動はさらに楽しくなり、自身のやる気も高まっています。現在は、校内にある一室の改修工事に携わっています。作業机の表面に化粧板を張る際、長く平坦な状態を保つために、空気が残らないよう土台にしっかりと押し付けました。天井ボードの貼り付けでは、向きの確認を徹底し、ビス止めする際には下地がある所に真っすぐ固定しました。今まで以上に精度にこだわるようになったと実感しています。これからも、私は自らが行う作業や作り上げる作品の質をさらに高め、その経験と技術を糧に、自分の夢に繋がるよう不断の努力を続けていきます。道のりは長いですが、失敗は成長への一歩目。恐れずに進んでいきたいと思います。






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