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高校生作文コンクール受賞者に聞く『建設業への思いと夢』

優秀賞「未来へ繋ぐ建設のバトン」/中川元太さん(長崎県立佐世保工業高等学校・建築科2年)

2025年01月04日(土)

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佐世保工業 建築科2年・中川元太さん
 国土交通省と建設産業人材確保・育成推進協議会(事務局・建設業振興基金)が、全国の高等学校の建築や土木学科の生徒を対象に毎年実施している『高校生の作文コンクール』。2024年度は“建設産業についての私の思い”または“日々の学びと私の夢”のテーマの下、952作品の応募があり、県内からは優秀賞で3人が受賞した。今の若者に、現在の社会そして建設業はどのように映っているだろうか―。作品に込めた思いと今後の夢などを聞いた。


~建築の楽しさ伝えたい!~


 まさか自分が受賞するとは思っていなかったので、受賞したと聞いたときは正直驚きました。受賞したと両親に話したらとてもビックリされましたが、とても喜んでくれました。


 なぜこのテーマにしたかというと、ことし正月に起きた能登半島地震が一番のきっかけです。南海トラフ大地震や地球温暖化問題についてもよく報道され、そのたびに建設産業が取組む課題や役割は大きいと感じるようになりました。このような大きな問題や課題にきちんと向き合い、対策を講じてきた建設業の役割は大きく、さらにこれらを次世代へ繋ぐことの大切さを表現しました。


 高校進学は、小学生の時に家を新築し、大工さんの後ろ姿を見て憧れ、自分もいつか家を建ててみたいとの思いからです。高校に入ってからその思いが変わって来て、最初は自分で作る楽しさを追い求めていましたが、ある日の授業を切っ掛けに、作る楽しさを教えたい気持ちが次第に強くなりました。将来は、長崎県内工業高校の建築科の先生になることが今の目標です。


【受賞作品】

未来へ繋ぐ建設のバトン

 建設産業はこれからの日本、世界が発展を続けていく中において、なくてはならない産業であると考える。私がそう考える理由は「南海トラフ大地震」と「地球温暖化問題」にある。


 一つ目に南海トラフ大地震。科学者によると、今から四十年以内に九十%の確率で発生すると言われている。東日本大震災の時の被害を思い出してほしい。その時たくさんの建物が津波や地震によって倒壊した映像が流しだされた。その時でさえ尋常でないほどの被害があった。しかし、南海トラフ大地震は東日本大震災よりも強い地震、津波が予想されており、中には津波によって沈むと言われている都市もある。さて、この地震に対し、私たち建設産業に関わっている人々は何を考え、どう行動するべきだろうか。私は、何もしない四十年にはしたくないと考える。建築基準法は、大きな災害があったときによく法改正が行われる。建設物の地震などの災害に対する意識は年々高まっていると思う。そう考えると、日本の建設産業は「災害によって被害を受け、その被害を次の災害が起こったときに受けないようにしようと対策をする」という一連のサイクルによって成長してきたと言えると考える。「対策を徹底する」これが今の建設産業に求められていることではないかと思う。「建設物」それは、そこに住む人が幸せに暮らせるのはもちろんのこと、「生命・財産」を守るものでならなくてはいけない。では、実際にどのようなことができるのだろうか。まず私たちが、建設と災害の関係性についていつも意識をしておくことが大切だと思う。逆に建設産業に携わる人々が「災害に対する思い」を胸に持ち行動をしないと災害によって大きな被害を生み出すことに繋がるのではないだろうか。今私たちは、その運命の分岐点に立っていると思う。建設産業は、とても大きな力があると考える。建設産業が、災害のことを考えて動き出せばきっと日本はもっと素晴らしい国になっていくだろう。


 南海トラフ大地震に加えて近年重要視されているのが「地球温暖化問題」である。資源を無駄にしない建設を行っていく必要がある。そのことを考えると、むやみやたらな都市開発に踏み出すことは「地球温暖化の進行をさらに早めている」ということになる。それにいち早く気づき、地球温暖化に対してどう解決策をとるのかということも大事になってくると思う。


 建設産業は「自分の創造を形にできる素晴らしい産業」であるとともに「日本の未来を担う先導者の様な産業」であると考える。五十年後、百年後の未来、日本がどんな姿になっているかは全く想像できない。でも一つ確実に言えるのはその未来は「建設産業」にかかっているということだ。だからこそ、建設産業は未来の日本をより良いものにしていけるようその時代に合わせて常に考え、行動し、そのバトンを未来の建設産業に繋いでいくことが何より大切だと思う。



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