西九州道の道路整備を振り返る/23年度末時点で事業進捗率57%
2025年01月04日(土)
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国道497号西九州自動車道は、県内において松浦佐々道路の整備を計画。松浦市から北松浦郡佐々町までの19.1㌔を3つの工区に分けて進められている。松浦IC~平戸IC間の工事は概ね発注済み。今後、平戸IC~佐々IC間において、4つのトンネル、8つの橋梁を含む道路整備を進めていく予定だ。23年12月22日に国から、松浦IC~平戸IC間について25年度中に開通すると発表。2023年度末時点での事業進捗は57%となっている。開通前ではあるがこれまでの整備を長崎河川国道事務所西九州道推進室の協力の下、振り返る。
■松浦IC~平戸ICは25年度開通
松浦佐々道路の事業目的は、西九州自動車道の一部を構成する路線であり、長崎県北部に位置し、九州北西部の広域的な連携を図り、地域の活性化に大きく寄与するとともに、北松地域の唯一の幹線道路である国道204号の代替路線としての機能も有する。事業経緯では、1988年6月に高規格幹線道路(西九州自動車道)の決定、2014年度に事業化、16年度から工事着手している。23年12月末時点での総事業費は1130億円。
事業概要は、起点が松浦市志佐町浦免、終点が北松浦郡佐々町沖田免で、延長約19・1㌔、幅員12・0㍍(車道幅3・5㍍、片側1車線)の第1種3級、時速80㌔の自動車専用道路。このうち、松浦IC~平戸IC間は、延長7・5㌔で、2つのトンネルと8つの橋梁があり構造物が多い区間となっている。
工事は16年11月に松浦市で着工式を執り行い、松浦市側から初弾工事として志佐地区浦免改良工事が進められた。中でも松浦1号トンネルは19年11月に着工し、23年12月に貫通式を、さらに松浦2号トンネルは19年4月に着工し、23年9月に貫通式をそれぞれ開催した。【写真①】
西九州自動車道の工事現場は教育現場として活用もしており、県内工業高校のインターンシップをはじめ、多くの現場見学会を開催。トンネル工事現場では、地元松浦市民を対象とした見学会も開催。22年7月には(一社)日本建設業連合会(会長・宮本洋一清水建設会長)による『けんせつ探検隊』を長崎497号松浦1号トンネル新設工事現場で開催し、実際にトンネルを歩くことで、参加者が土木へ興味と理解を深めた。【写真②】
長崎河川国道事務所は、長崎497号松浦4号橋上部工(P15~A2)工事の現場において、8月と9月に計3回にわたり、橋桁の送り出し架設を行った。9月分は夜間に行われ、松浦市民が見学に訪れた。【写真③】
松浦IC~平戸IC間の工事は概ね発注済みとなっている。
平戸IC~江迎鹿町IC間では、3つのトンネルと5つの橋梁を整備する。12月1日に江迎3号トンネル(延長90㍍)の貫通式が催された。
1橋梁は既に完成し、4つの橋梁工事(下部工)にも着手しており、鋭意整備が進められている。同ICへのアクセス道路は県が主要地方道佐々鹿町江迎線道路改良工事として整備中。
さらに終点佐々ICまでは、2つのトンネルと4つの橋梁を整備する計画で、現在、設計や調査業務のほか、用地買収などを進めている。
松浦IC~江迎鹿町IC間において、12月12日には県立鹿町工業高等学校土木技術科の2年生が長崎河川国道事務所西九州道推進室や各施工業者の協力により現場見学会を実施。貫通したばかりの江迎3号トンネルをはじめ、平戸IC建設予定地付近の江迎1号橋下部工、松浦4号橋上部工、松浦1号トンネルの各現場を訪れ、同室の建設監督官や監理技術者、現場代理人から直接説明を受けた。普段見ることができない風景に驚きと関心を寄せていた。【写真④】
松浦佐々道路のうち、平戸IC~江迎鹿町IC間と江迎鹿町IC~佐々IC間の2区間の開通時期は未定であるが、整備完了区間ごとに完成すれば供用開始する見通しだ。
関連工事として、佐々IC~佐世保大塔IC間も西日本高速道路㈱が整備を進めており、18年3月に4車線化事業許可、19年11月に事業全体の着工式、23年8月に天神山トンネル、10月には弓張トンネルがそれぞれ貫通。19年度から4車線化に取り組み27年度の全線供用に向け整備を促進している。事業費は約1256億円。
※トンネル名と橋架名については全て仮称。