【インタビュー】長崎港湾・空港整備事務所 野口博之所長/建設業は重要なパートナー
2025年09月17日(水)
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今年4月、九州地方整備局長崎港湾・空港整備事務所長へ就任した野口博之氏。当事務所の勤務は2回目で約30年ぶり。「時代とともに変化する港湾が担うべき役割についても、地域の方々と連携しながら進めていきたいと思います」と穏やかに語る新所長へそのかじ取りや主要事業について聞いた。
事務所長としての抱負
壱岐や対馬、五島の国境離島を有する当事務所ですが、長崎港、佐世保港、厳原港、長崎空港のインフラ整備、並びに平戸瀬戸航路、蟐蛾ノ瀬戸航路、万関瀬戸航路の保全や管理など幅広く担当しています。
また、長崎県は地形、地理的な自然条件から全国最多の離島を有しており約4200キロ㍍の長大な海岸線に82の港湾(56条港湾除く)が点在しており、その数は全国2位で全国有数の港湾県。海上輸送網の拠点となる重要港湾が5港あるほか、地域の海上輸送を担う地方港湾が77港あり、地域の産業や住民の暮らしを支えています。特に全国最多の離島を有する長崎の離島住民に対する交通の要として港は、大きな役割を果たしています。
事務所長として、これらの港湾空港行政の重責を担うこととなり、身が引き締まる思いです。
主要事業の概要
長崎港では、長崎港松が枝地区旅客船ターミナル整備事業を進めています。本事業は、クルーズ船の寄港が2017年には267隻となったことで、クルーズ船の受け入れ「お断りゼロ」を目指し、16万㌧級の大型クルーズ船が2隻同時接岸できるよう岸壁を2バース化するものであり、20年度から事業に着手しています。直轄では延長410㍍水深12㍍を有する岸壁などの主要な港湾施設を整備しています。
佐世保港では、畜産飼料や石炭などを取り扱っている前畑地区において、港湾施設の老朽化による利用制限や非効率作業を解消するため、既設岸壁の改良を進めています。今年度は岸壁の水深10㍍の部分をメインに補修工事を行い、来年度から水深11㍍の部分の工事を実施予定です。
厳原港では、地球温暖化の影響などで近年の激甚化・頻発化する台風や高波、並びに港湾施設の老朽化への対策のため、既設防波堤の改良を進めています。
長崎空港では、航空機のオーバーランやアンダーシュートから人命を守り機体の損傷を軽減させるため、滑走路端安全区域(RESA)に係る用地造成を進めています。令和4年から始め、令和10年代前半の完了を目指しています。
このように当事務所では引き続き、港湾や空港における国土強靭化、安全・安心の確保に取り組んでいくこととしています。
長崎の印象
当事務所の勤務は2回目で約30年ぶり。西九州新幹線開業や駅周辺土地区画整理など、長崎駅から望む臨海部というか、みなとまちが大きく様変わりしているなと感じています。
また、異国情緒豊かな町並みや外国船籍のクルーズ客もどことなく笑顔で散策しているのがよく目にとまり、昔からおもてなしのまちだなって感じがします。
今後、港湾や空港のインフラ整備を通して、インバウンドの享受、地域の活性化、国土強靱化、老朽化対策、気候変動対策など長崎の更なる発展に貢献できるよう真摯に取り組んでいきます。
また、時代とともに変化する国境離島の港湾が担うべき役割についても、地域の方々と連携しながら進めていきたいと思います。
地元建設業に向けて
地元の建設業の皆さまは、経済活動を支える港湾空港のインフラ整備や災害時の地域の守り手として重要な役割を担っていただいているパートナー。しかし現在、業界の人材不足は深刻であり、これを改善すべく、将来を見据え、「働き方改革」「担い手の育成・確保」「生産性の向上」の取り組みについて積極的にご協力いただいているところです。
今後も受発注者の意見交換を重ね、地域社会や建設業の向上に貢献できるよう地元建設業の皆さんと一緒に取り組んでいきたいと思います。