【インタビュー】長崎河川国道事務所・上田章紘所長/今がインフラ整備のチャンス
2025年09月17日(水)
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7月、長崎河川国道事務所長に就任した上田章紘氏。長崎は中学、高校以来で25年ぶり。「当時に比べて、インフラの整備が進んでいる。まずは新幹線の開業に合わせ、連続立体交差事業がなされ、それに合わせて駅ビルも改良、駅前の再開発には驚かされた。また県庁まで新しくなった」と久しぶりの長崎の感想を語った新所長へ主たる事業の展望と思いを聞いた。
事務所長としての抱負
長崎市は今、100年に一度の変革期。都心だけでなく国土交通省の担当している幹線インフラについても今、事業は大きく動いています。今後の人口減少社会を考えると、今動かさないと基幹インフラ整備のチャンスはあまりないかもしれません。
長崎に必要なインフラ整備について、次世代に何を残すべきなのか、しっかり地元の人や関係者とよく議論していきたいと思います。
主要事業の概要
西九州自動車道の松浦佐々道路では、3つの区間に分けて進めており、今年度開通を予定しているのが松浦工区(L=7・5㌔㍍)。橋梁、トンネルなど構造物は、ほぼ完成。今は中央分離帯の設置や舗装工事、ガードレール、照明施設整備などを行っています。江迎工区(L=4・3㌔㍍)土工改良工事や橋梁の下部工事、トンネル工事など構造物を中心に進めています。佐々工区(L=7・3㌔㍍)については調査設計と用地買収を行っているところです。
森山拡幅では現在、尾崎ICからの自動車専用道路の本線の上部工事とオフランプの工事などを行い、森山西ICの区間では舗装工事を進めています。尾崎地区は一般道路としても整備しており、現道部分の歩道の設置工事をしているところです。
大村諫早拡幅では、今年度は大村側が中里地区、諫早地区は下大渡野地区をそれぞれ着手します。現在、発注手続き中で工事契約を予定しています。その他の地区は鋭意、用地買収に努めます。用地買収の進捗は2024年度末時点で面積ベース41%となっています。
富津防災では、昨年11月に地元説明会を実施しました。現在は地元に入って用地調査、測量を始めています。24年度補正予算で橋梁の予備設計を実施しており、今年度は、用地取得にいよいよ入っていきます。地元の皆さんの理解、協力を得ながら進めます。
長崎の印象
小学生の時、出身の熊本から雲仙普賢岳の火砕流を見ていました。学生時代には、熊本からフェリーで長崎まで来るのにものすごく時間がかかった記憶があります。
国交省ホームページに半島の特徴は「三方を海に囲まれ平地に恵まれず、幹線交通体系から離れているなど制約の下にあることから、産業基盤や生活環境の整備等について他の地域に比較して低位にあり、また人口減少、高齢化が進行するなど厳しい状況」と記載されています。
長崎県は県全土が半島のような地形です。交通のハンデは大きいにもかかわらず、今回、長崎に赴任する際は周りの人から羨ましがられました。歴史・観光面等で非常にイメージの良い県だと改めて感じました。そのポテンシャルを活かし、必要なインフラを整備して長崎の発展に力を尽くしたいと思います。
地元建設業に向けて
職員への初めのあいさつで「皆さんの仕事は間違いなく世の中の役に立っている。家族や子どもたちに誇れる仕事だから頑張ってほしい」というメッセージを送りました。
建設業の方々もまったく同じだと思います。災害復旧の緊急時だけでなく、平時もわれわれの生活を守るインフラを支えているのが建設業の方々。
現場仕事は猛暑や風雨など大変なことも多いですが、機械化や工場製の二次製品の使用、i-Constructionなどにより、少しずつ現場の労働環境も改善してきていると思います。
また、賃金アップや完全週休二日制など待遇面でも、もっともっと改善して若い人たちが喜んで就職してくる業界となってほしい。